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           中学受験 国語 斎藤の<国語の頭脳>教室


中学受験の読書の館

1> 今日、絵本を読んだ。絵本は子供が読むだけのものじゃない。ユングの精神分析では、絵本には神話と同じく様々な事が元型論としてある。そこが、非常に物語を読むうえでおもしろい。

 佐野 洋子さんの「300万年生きたネコ(講談社、1200円)」を読んだ。

 ある一匹のネコが300万回生まれて来て、300万年生きている。その時、様々なご主人に飼われ、様々な体験をしたということが<例文>として書かれている。

 そのうちに、偶然、白い無愛想なネコに出会う。

 自分は300万回生まれてきて300万年も生きているんだぞ、といっても何も動じない。白いネコは愛するネコを見つけ結婚し、家庭を築く。そして、子供が生まれる。

 子供が大きくなるにつれて白いネコはおばあさんネコになっていく。しかし、たいへん幸せである。300万年生きてきたネコは、その白いネコの生き方を見て心惹かれる。

 白いネコは、たった一度の人生を一回しか生きることはできない。だから、だんだんと老いて行く。

 300万年も生きてこれたのに、白いネコがだんだん弱っていく姿を見て、300万年生きてきて初めて涙を流す。

 300万年生きてきたネコはそのとき、寿命の尊さ、たった一度の人生であるからこそ、人生が重みを持つことに気がつく。

 そして、白いネコは死ぬ。白いネコを思い初めて人生の重みを知り、愛や喜び、泣くこと哀しさを知った300万年生きてきたネコは白い無愛想なネコの脇で初めての死を迎えるという、話である。

 非常に感動し、生きることの意義を再確認させられた「絵本」である。これからもおもしろい「絵本」があったら紹介していきたいと思う。


 2> 「飛ぶ読書室」 紀田 順一郎 著

     304ページ 定価1680円 みくに書房

  この本は浅く広く、中学受験に必要不可欠な名作63作品を紹介している。

  単なる浅く広くにとどまることなく、原文の魅力をそのままかもしだしているところに、非常な魅力がある。また、そのあらすじは、中学受験を前にし時間のない生徒さんにとって十分である。

  さらに、作家、作品の書かれた背景にも十分説明されており、なぜこの「作品」が世に出たのか、についてまで、作品理解は深まると確信しております。

  読めば必ず力になる一冊です。



 




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